2023年5月26日金曜日

ロアマスターズ・アーカイブ:アルゴニアンからサクスリールへ

LOREMASTER’S ARCHIVE: FROM ARGONIAN TO SAXHLEEL

11/07/2014


蔵書庫が、バイスカノン・ヘイタ・ミーンによるアルゴニアンについての新たな伝承の本を明らかにします。

本日の回では、エボンハート・パクトの同盟であるダンマーやノルドとは異なるアルゴニアンの近代の歴史について探求していきます。

次回はタムリエルの最も危険なダンジョンをめぐり、時には生きて冒険譚を語る数少ない恐れ知らずの探検家であるアンドーンテッドに迫ります。



『アルゴニアンからサクスリールへ』
バイスカノン・ヘイタ・ミーン著

FROM ARGONIAN TO SAXHLEEL
By: Vicecanon Heita-Meen


誤った理解と抑圧が何世紀にも渡りブラックマーシュを汚染してきた。私の卵の兄弟たちは帝国による征服と、ダンマーの手による奴隷制に耐えてきた。鉄のブーツは私たちの文化と伝統を踏みにじる。私たちが沼地に生まれついたことは幸運だ。それが哀れな乾いた肌の者たちを阻んでいなければ、私たちの道はすでに塵と化していたかもしれない。困難にも関わらず、ヒストは今も私たちを導いてくれている。そして記憶のなかではじめて、私たちは循環を断ち切る機会を得た。

私は若き日々を、奴隷として過ごした。怒れる者だった。並みいるドーレス家の暴君たちの中で残忍さで名を知られるのは容易なことではないが、グラシス・ドーレス評議員はそれをやってのけた。宴会で客の席順を間違えたために意識を失うほど殴られた後、私は我慢の限界を迎えた。再び塩田で働けるようになると、私は隙を見て酔った衛兵を打ちのめし、仲間の奴隷たちと共に逃げ出した。

私たちはソーン・マーシュに逃げ込んだ。アルゴニアンの一団とすれ違ったが、彼らが裏切り者だと気づくのが遅すぎた。奴らはアーチェイン族のクズで、ドーレス家に雇われていた。空腹と疲労の限界にあった私たちは簡単に捕まった。太陽は私の空を見捨てたのだ。だが今にして思えば、そこに微かなヒストの意志があったことがわかる。アーチェインの村で、私はある幻視を見た。ヒストの木が私に語りかけ、血と恐怖の光景を見せたのだ──アカヴィリによる侵略、そしてノルドとダンマーが枯葉のように倒れる様を。

これは好機だった。ターニングポイントだ。だがどうやって利用すればいい? 我々はソーンに連れ戻されたが、ダンマーたちはアルマレクシアの戦の招集に応じ 今ではほとんど誰も残っていなかった。そして私に課された罰は、グラシス自らの手で鞭打たれることだった。その日グラシスは中庭で最初の鞭を振るった。私はその鞭を掴み、彼の首を絞めた。あの時、彼の目から光が失われる瞬間の表情を私は二度と忘れないだろう。

時間を無駄にすることなく、私はアーチェイン衛兵の百人隊長に挑み、戦闘の権利(right-of-combat)で彼女の地位を争った。彼女にそれを拒否するすべはなく、また仲間からの敬意を保つこともかなわなかった。決闘は短時間で終わった。私は指揮権を得て、再びそこで同じことをするためストームホールドに進撃した。そこでそれ以上サクスリールの血を流す必要がなかったことには感謝している。私たちをはじめに出迎えた灰のなかを歩む者は、ストームホールドのシェルバックたちと話し、我々の指揮下に入れるよう説得してくれた。

私は作戦を明らかにし、モロウウィンド、ストンフォールまで軍を進め、その地での戦い──アカヴィリとの戦いに参加しようとしていることを告げた。私たちはダンマーを守って戦い、潮の流れを変えることになる。当然、その作戦に異議を唱える者もいた。異議というのは控えめな表現かもしれない。私は自分が見たヒストの幻視のことを伝え、マーシュへ戻りたい者はそうするように告げた。それでも多くの者が残り、私たちは進軍した。

私たちが戦場の混沌のただ中へ着いたとき、武装した奴隷たちが向かってくるのを目にしたダンマーの顔には恐怖の表情が浮かんでいた。その恐怖は、私たちが彼らの隊列に加わりシェルバックが侵略者たちを圧倒し追い返すだけの武力を発揮しはじめると、驚愕へと変わっていた。

こうして私たちは認められるようになった。記憶にある限り初めて、支配者ではなく、同盟者がいる。私たちは法の下、自由であり、村を取り戻し、我らの伝統を強くしている。多くのサクスリールと私たちの新たな同盟者との間には、まだ苦い血が流れている。すべての部族が我々に加わっているわけでもなく、ソーンマーシュ、シャドウフェン、マークマイアの部族だけにすぎない。これは驚くことではない。とはいえ、他の者たちもいつか理解してくれることを願っている。私たちに与えられたこの機会が、我々への理解を育み、私たちの生き方を未来へ残すことに繋がっていくのだと。



ヘイタ・ミーンがあなたの質問に答えます:
HEITA-MEEN ANSWERS YOUR QUESTIONS:


「バイスカノン・ヘイタ・ミーン! 前回シャドウフェンに立ち寄った時、我々の祖先が残した古代の石造りの遺跡について詳しく教えていただく前に帰らざるを得ませんでした。乾いた肌の種族はサクスリールがそのような作品を作ることができないと思わせようとしていますが、我々はまぎれもなく建設者です。伝説にある古きザンミーアが建設されなくなり、廃墟と化してしまったのはなぜなのでしょう。我々の祖先に何があったのですか?」──Eis Vuur, Warden, Wayward and Contract Scholar より


バイスカノン・ヘイタ・ミーンの回答
「残念ながら、卵の兄弟よ、私は学者ではない。ドーレス家の奴隷として育ち、解放戦争のあとは日々の事柄に忙殺され、過ぎ去った時代の事柄に関心を持つことをしなかった。しかしギデオンのバイスカノンから、あなたと同じように興味を持つ人がいると聞いている。マークマイアのサクスリール研究者は、まさにこの問題を掘り下げているそうだ。モンスーンの後でマークマイアへの道が開通すれば、あなたが自らそこに旅し、彼らが何を突き止めたかを知ることができるかもしれない。それまで、潤いを保てますよう!」


「アルゴニアンとヒストの樹とのつながりを理解したいと思っています。樹に対して儀式をしたり、祈ったりすることはありますか? ヒストはあなた方の生活にどのような影響を与えているのでしょうか? 意志を持つ樹々の前に立つと、どのような気持ちになるのでしょうか」──Sashlyr より


バイスカノン・ヘイタ・ミーンの回答
「この質問は言葉にして答えるのが難しい。私は多くの同胞のように、いわゆる神のような性質を持つ存在を “崇拝” したりしないし、そうする人々の気持ちや彼らがどういう事をするのかも分からない。私たちは誰も相手の心の中にあるものを理解してはいない。それでどうやって互いに意味のあるたとえを見つけることができる? けれど試してみよう。もちろん、私たちにも儀式がある。儀式は社会という家を支える泥だ。しかし、私たちはヒストに "祈る" ことはしない。私たちの思考と欲望は共に流れるものだから。ヒストは川であり、私たちサクスリールは、流れる川が岩をこえる場所で立ち上る波。今のは明快ではないか?」


「私はずっと、サクスリールたちの時間への感覚に魅了されてきました。自分の全人生を一瞬の出来事として捉えていると言われていますよね。これがどういう仕組みなのか、説明していただけますか? 未来に目を向けず、過去を回想するのですか?」── TheHumanFloyd より


バイスカノン・ヘイタ・ミーンの回答
「あなたたち人間は時間を複数の出来事の集まりとして捉えて、しばしば物語や一連の状況の説明として語る。私たちにとって、それは奇妙で狭い見方のように思える。あなたの考えを奇妙で欠陥のある型の中に押し込めているかのようだ。私たちは時間というものを過去から未来へ続く線として見てはいない。潮が満ちるときに砂浜に押し寄せる広い波のように、あるいはモンスーンのときに沼地を横切る嵐のように見る。原因と結果とは分たれたものではなく、一つの出来事であり、それをつくる重要な要素同士の距離に意味はない。それ以外になんと言える?」


「アルゴニアンは再生能力がすごいと聞いています。アルゴニアンの手足が切断されたら、また生えてくるのでしょうか?」── TheHumanFloyd より


バイス・カノン・ヘイタミーンの回答
「私は困惑と驚愕の背骨を立てる。あなたがた人間は、一体どこでそのような考えを得てくる? Waxhuthi!」



――――――――――――

Elder Scrolls Online公式サイトにて掲載されたLoremaster’s Archiveの記事を日本語訳したものです。ESOゲーム内書籍として実装されていない本については英語の題名と著者名を併記してあります。ゲーム内書籍として実装されている本については、訳はESO日本語版同書籍のものです。

原文:Loremaster’s Archive: From Argonian to Saxhleel - The Elder Scrolls Online(https://www.elderscrollsonline.com/en-us/news/post/1241


おまけ:
「ヘイタ・ミーンと、黒きヒレのケシュとの関係は?」



この回のロアマスターズ・アーカイブが公開されたのは2014年の11月。NPCとしてのバイスカノン・ヘイタ・ミーンはシャドウフェン地域のクエストの中心人物として2014年のESOリリース時から登場しています。それから4年後の2018年にリリースされたDLC「マークマイア」では、黒きヒレのケシュという人物について書かれた伝記本『ケシュ』シリーズが追加されました。
この伝記によると、黒きヒレのケシュはブラックマーシュの村に生まれ、のちに黒きヒレ軍団というサクスリールの一団を創設した人物で、第二次アカヴィリ侵攻のおりには友人であるウィンドヘルムのジョルン王からの求めに応じ、シェルバックを率いてノルド・ダンマー連合軍に加勢したことでエボンハート・パクトの結成に貢献した戦争の英雄であるという話が語られています。『ケシュ』には黒きヒレのケシュの幼少期からの生い立ちが詳しく書かれており、その中にはストームホールドでジョルン王その人と共にドーレス家の奴隷商人に立ち向かい、仲間を解放するという場面もあります。
となると不思議になってくるのは、バイスカノン・ヘイタ・ミーンと黒きヒレのケシュとの関係です。二人は幼少期の生い立ちこそ違いますが、どちらも第二次アカヴィリ侵攻でシェルバック部隊を含めた軍を率いていますし、その前にストームホールドで奴隷を解放したというところも似ています。このよく似た経歴を持つ二人の存在は一部のファンを混乱させ、ヘイタ・ミーンと黒きヒレのケシュは同一人物なのではないかという考察も生まれました。

2020年頃のredditの投稿
Theory: Heita-Meen and Keshu Black-Fin are the same person : teslore
https://www.reddit.com/r/teslore/comments/j4qxgf/theory_heitameen_and_keshu_blackfin_are_the_same/

ところが、2021年、新章「ブラックウッド」のリリースで今度は黒きヒレのケシュ本人がNPCとして登場してしまいました。ケシュ自身の台詞によれば、伝記本の『ケシュ』にある通り彼女は黒きヒレ軍団を率いてアカヴィリとの戦いに参加し、エボンハート・パクトの結成と領土の安定に努めた後は、パクトの仕事を離れマークマイアの都市であるギデオンの総督になったということでした。
つまり、(少なくともこの話を聞く限りでは)シャドウフェンでバイスカノンとして今もエボンハート・パクトに関わっているヘイタ・ミーンと、黒きヒレのケシュとは別人だったわけです。

混同されてしまうこともあるものの、奴隷の解放者であり、同じ戦いに参加していた二人。お互いに言及する台詞こそありませんが、実は友人同士であったりするのかもしれません。(上の記事でも"ギデオンのバイスカノン"と知り合いのようでしたし)ヘイタ・ミーンが語っているように、第二次アカヴィリ侵攻でヒストの意志が働いていたとすれば、彼女たちのように戦場に駆け付けたサクスリールの英雄が他にもいたのかも……。パクト結成のエピソードは(このブログ名で言うのもなんですが)TESの歴史の中でも特に熱い話なだけあって色々と妄想が尽きません。
マークマイアやブラックウッドで新しいロアが追加されたとはいえ、アルゴニアンの歴史についてはまだまだ語られていないことが多いので、今後この二人の再登場と共に新しい刺激的なロアが見られることを楽しみにしたいですね。


その後……
2025年、虫の教団の季節にて、久しぶりにバイスカノン・ヘイタ・ミーン著のゲーム内書籍が登場しました。内容としてはソルスティスのアルゴニアンの文化を体験したヘイタ・ミーンの手記といったものになっていますが、第二次アカヴィリ侵攻でヘイタ・ミーンと灰を歩む者の二人が戦いに参加したことにも触れられています。さらに、ソルスティスのストーリーでは黒きヒレのケシュも再登場し、パクト結成の立役者となった歴戦のサクスリールたちが揃い踏みする形になっています。

『潮の叡智』

バイスカノン・ヘイタ・ミーン著

何年も前、必要ならいつでも刃を貸すと灰を歩む者に約束した。共にアカヴィリへ向けて進軍した時に信じてくれた彼女に対するせめてもの行いだったが、それはエボンハート・パクトの旗の下の話だろうと思っていた。まさかタムリエル全土の勇者、つまりスティルク連盟が導く旗の下で協力しようとは想像もしていなかった。

ソルスティスに到着した時点で、虫の教団の信者と戦う覚悟ができていた。そのために刃研ぎ上げた。鎧まで磨いて調整しておいたにもかかわらず、この熱帯の浜辺で私を持ち受けていたのは、単なる戦争をはるかに超えるものだった。

この島を故郷と呼ぶアルゴニアンの部族がある。 潮の子だ。彼らは西の沿岸に散在する村に住んている。そうした村の中で最も大きいシェルタイドは、取引の拠点になっている。また、多くの村が浅瀬で温めて孵すため、卵を持ち込む場所でもある。

最も興味深いのは、ヒストの木がどこにも見当たらないことだ。とうやらこのサクスリールたちは、何らかの理由でヒストとのつながりを失っているらしい。 歌は聞こえないが、苦悶の壁を越えた島の東側は、まだ木が残っているかもしれないと言う潮の子の者もいる。だが彼らの口振りは朗らかで淡々としている。まるで食べ物の屋台への道順でも聞か
れたかのような答え方だ。

彼らのやり方をより深く学ぶため、シェルタイド村で少し時間を取り、ノキという名の卵守えい(ここでは浅瀬の番人と呼ばれているが)の後を付いて回ってみた。彼女は信条の基本を教えてくれた。学んだことをできるだけ書き留めようと思う。

タムリエルでアルゴニアンが死ぬと、ヒストに戻れるよう土の中に葬られる。潮の手は彼らを連れ戻す川が記憶を整理し、どれをヒストに織り込み、どれを捨て去るかを判断すると信じている。捨てられた記憶が潮の子になるのだ。川が虚無の海と永遠のうねり、つま潮に出会い、彼らをソルスティスの岸に連れてくるのだそうだ。この浅瀬で自らを温めている卵の元へと。

そう説明しながら、ノキは孵化用のベッドの入口付近に1本の小さな海藻を置いた。卵を守る、ある種の低い壁だ。彼女は私が見ていることを確かめると、海藻を卵に向かう流れに任せた。私たちは海藻が卵の周りで踊るのを眺めた。流れの見えざる力に支配された繊細なリズムで。

棘が不安を表していたからだろう。ノキが私の手を卵へと導いた。彼女は私に手を水の中に入れ、けれども殻のすぐ上に保つように促した。彼女は一歩下がり、私が目にしたものへの驚きに浸れるようにした。海藻は進路を変え、私の鉤爪の間を縫うように進み始めた。私は海藻を運ぶ激しい水の流れを感じたが、それ以上に、潮の背後にある優しい圧力があるのを感じた。ノキの触れ方に似た、軽く押すような力を。

その日しばらくしてから、潮が引いてあらわになった短い桟橋にノキと共に座っていた私は、鱗の下でくすぶっていた質問を投げかけてみた。なぜこの潮は捨てられたものを戻すのか? その目的は? 彼女は長い時間をかけて考え、思考をまとめながら海からウニを拾い上げ、棘からドロドロしたものや岩層を取除いた。彼女はそれを海に戻し、こう答えた。

「アルゴニアンはすべて・・・ あなたも含めてよへイタ・ミーン、自分たちよりも前に用意されていた鱗を運命として生まれてくる。その鱗が私たちを私たちたらしめる。それが、勇敢さであれ、臆病さであれ、強い好奇心であれ。それに向かって歩むとき、中には道を外れ、迷い、たどりつくまでに命を落とす者いる。そんな時は湖が私たちを戻して、もう一度道を歩み、いつの日か運命の鱗で身を飾って、虚無の中で虹色に輝けるようにしてくれる」

私は座り、しばらくの間その言葉について考えた。 歌に気づいたのは、日が落ち、私たちの下の岩から熱がすっかり失われてしまった後のことだった。それはヒストの歌ではなかった。だが、波の流れのすぐ下にある何かが、足の裏に触れる岩の間を通ぎていった。馴染みがありながらも奇妙な、優しいリズムで。

もしノキが言ったことが真実なら、私はこの生涯で運命の端に到達できたのだと思う。同胞のサクスリールたちの自由が、十分にそれを証明している。しかし私と共にこの道を歩きながら、目的地に着くまでに倒れてしまった卵の親族はたくさんいる。戦士だけではなく奴隷も。かつて、ドーレス家の残酷さに苦しめられた者たち。潮はいつか彼らを鎖から解き放ち、この岸に戻してくれるのだろうか? このくたびれた鯖はそう願っている。

振りかえれば、彼女は惜しむことなく私のために時間を割いてくれた。たとえ私が彼女の日々を長引かせ、仕事を複雑にしているのが明らかだったとしても。これについては感謝している。ノキ、私はあなたに捧げるためにこの考えを記す。あなたの。 孵化場を散策し、痛む体を温かい砂の中で伸ばしながら共に過ごした時のために。

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