2023年4月25日火曜日

ロアマスターズ・アーカイブ:不可解なパトロン

LOREMASTER’S ARCHIVE: INEXPLICABLE PATRON

06/20/2014


古の魔術の達人であるディヴァイス・ファーが、メファーラの性質について語ります。

タムリエルの歴史を通して見ても、ディヴァイス・ファーに匹敵するほどの魔法の才能、長命、知識を持っていると言える人物はほとんどいません。今回の記事で、彼はその洞察のごく一部を共有し、皆さんの質問に答えることを了承してくださいました。彼の時間は大変貴重ですので、さっそくその栄誉ある言葉をお届けしましょう。

次回は、発明家のテレンジャーがルーンストーンと付呪について教えてくれます。これらの質問やその他の伝承に関する質問をお寄せください。



※INEXPLICABLE PATRON: MEPHALAは、DLCサマーセットにて『謎の後援者:メファーラ』として収録されました。公式訳はそちらをご参照ください

『不可解なパトロン、メファーラ』
ディヴァイス・ファー 著

INEXPLICABLE PATRON: MEPHALA
By Divayth Fyr


自らをトリビュナルの「司祭」、「学者」と称する者たちとの最近の議論の結果、我らの祖先が「受容」したデイドラの性質についての甚だしい誤解に、私は(頻繁にあることではあるものの)恥ずべき点を見出したが、(未だかつてなかったように)驚きはしなかった。最近の司祭は、当たり障りのない朗読や、巡礼者から金貨を引き離すための方法しか訓練されていないようだ。これは伝統的な役割からの重大な逸脱であり、失望させられる。これを不敬であると言う者もいるだろう。そのような者は、討論──あるいは魔術の競い合いで、私に挑戦することを勧めよう、それを望むのならだが。私が俗世に関心を持つことはあまりない。それでも、誰かがこの蒙昧なる風潮と戦わなければならない。

すべてのダンマーが私自身と同等の理解に至れるとは期待していない。確かに、一般的なエルフは、我々の種族が日々生きていくため、ありふれた事柄に気を配ることを領分としている。とはいえ、怠惰はいかなる点においても嫌悪されるべきものであり、たとえ下層階級にあっても知的思考の停滞は許されない。よって、ここではまず最も誤解を招きやすい「善なるデイドラ」について、初歩的な考察を行なう。メファーラである。

「善なる」という言葉はいかなるデイドラの存在(Daedric being)にも相応しくないものであり、その言葉が軽々しく使われるようになったのは遺憾である。それぞれの領域の絶対的体現者であるデイドラの君主たちは、我々が持つような、いかなる道徳的基準も共有していない。デイドラとはそのようにあるものだ。メファーラ、ボエシア、アズラはダンマーに対して多くの影響をもたらしており、その意味では善良に見えるかもしれないが、彼らの動機や目標(そしてそれらが達成されたときにもたらされる影響)は我々には計り得ない。

メファーラが「紡ぎ手」と呼ばれるのには理由がある。だが、現代のダンマーはこの呼び名を無視し、代わりにヴィベクから連想される共感しやすい資質──暴力、狡猾さ、啓発的な詩といった芸術性──を、彼の「守護者」であるデイドラの存在に投影しているようだ。このような傾向は、メファーラの本質の多くを覆い隠すことになり、それこそがまさにこのデイドラの君主の望むところでもある。

メファーラは我々の祖先に、秘められた殺しの方法を教えた。それは敵に対して用いられるものであり、時には全面的な抗争を避けるために我々自身に対してさえ用いるものでもある。タムリエルを放浪し、ノルドやドゥエマーとしばしば衝突を伴う接触をもつようになった我々の先駆者にとっては、これは確かに「善なる」ことだった。我々は綿密な計画と嘘のつき方、敵をおびき寄せて罠にかける方法、複雑さを管理し結果を予測する方法を学んだ。しかし、このデイドラの君主がなぜ我々の民を擁護するのかを問う者は少ない。騙されやすい空想家は我々が優れた資質を持っているからこそ選ばれたと考え、皮肉を好む者は我々をデイドラの単なる娯楽だと言うが、そのどちらも嘆かわしいほどに短絡的な理論だ。

デイドラは創造することができないということを忘れてはならない。彼らができるのはただ、模倣、操作、誇張することだけなのだ。中には人間をただの遊び道具としかみなしていない存在もいるが、私はメファーラがそうであるとは考えていない。彼女が目的なく何かをすることはない。彼女はアービスのすべてを行動と結果の相互接続されたシステムとして認識し、結果に影響を与えるために新しい糸を紡ぐことに身を投じている。

その目的とは? それは読者自身が(私のように)考えるべきことだ。私が秘密のデイドラ君主の秘密を明かすほど、愚かだと思っているのか?



「『ヴィべクとメファーラ』には次のようにあります。「西で知られているように、メファーラは殺人と性と秘密の悪魔である。これらの主題にはどれも、微細な側面と激しい側面が含まれる(暗殺と虐殺、求愛と乱交、配慮と詩的な真実)。メファーラはこれらの相反する主題を逆説的に含み、統合すると考えられている」 このことが何故、彼/彼女を「善なる」(good)デイドラにするのですか? メファーラは、 せいぜい「よりマシな」(Better)デイドラというだけではないでしょうか」── Dylan Barnesより


ディヴァイスの回答
「この質問は、最も寛大な言葉を用いても短絡的と表現せざるを得ない。前述のエッセイを読むことだ」


「おはようございます。自分はエボンハート・パクトの軍団に所属する兵士です。Bruhn Crimson Furと自称するノルドがいるのですが、彼は非常に頭が悪く、災厄の四柱神の基本さえも理解できません。しかしこの質問をあなたに書いてほしいと頼むのです。ここに書きますが、事前に謝っておきます。“よお、ダークエルフ。数ヶ月前にドレモラと戦ったんだがよ、奴は自分の親玉のモラグ・ベアーを、リグ(Lyg)が滅んで以来のコールドハーバーの番人であるとか言ってたんだ。リグとかいうのはどうでもいい。それより、モラグ・ベアーは前はあんなに巨大な野郎じゃなくて、最初は下っ端のドレモラだったのかどうか、お前の手品野郎(magic-pagic guy)に聞いてみてくれよ”」── Teryn Redoranより


ディヴァイスの回答
「このユーモアの試みは粗末でぎこちない。しかしだからこそ、素晴らしい未来が待っていると予言しよう。コーナークラブのコメディアンとして、大衆の笑いを誘うのは間違いない」


「メファーラがつかさどる分野は定命の者には理解できないとよく耳にします。しかし、すべての証拠から、彼女がつかさどるのは蜘蛛であり、蜘蛛の巣のように定命の者の運命を操ること、つまり「策略」であると(かなりの確信を持って)結論づけることができます。しかしながら、この分野は、企みの神であるモラグ・バルが司るものでもあります。メファーラは 「善なるデイドラ」であり、モラグ・バルは 「悪なるデイドラ」であることを考えると、両者の間に何か対立関係があるのか気になります」── Sathronより


ディヴァイスの回答
「不十分な質問ではあるが、その尋ねるところには見るべき点がある。モラグ・バルの計略は、その規模こそ野心的だが、紡ぎ手のそれにあるような巧妙さとニュアンスをまったく欠いていると言えば十分だろう」


「さて、黒檀の刀剣と黒檀の鎧(Ebony mail)について考えていたのですが、これらはどちらもデイドラの君主のチャンピオンのためのアーティファクトですよね。しかしながら、黒檀はロルカーンの心臓の血が凝固したものであることが知られています。だとすると、一人ではなく二人のデイドラの君主が、黒檀で作られた特別なアーティファクトを持っているのはどういうわけでしょう? ボエシアとメファーラはロルカーンを騙して『自分たちも創造のために犠牲になる』と信じ込ませ、その後、エイドラが腹を立てているのを知って(創造後に)アーリエルとトリニマクに告げ口したのでしょうか?」── Mr_Flippersより


ディヴァイスの回答
「ああ、Mr_Flippersなどと冗談めかして名乗っているが、超越的存在(the transmundane entity)が、我々に問いを与えているな。その上、よい質問だ──私が明確に答えられない質問は、定義上、良い質問であると言える。ボエシアとメファーラは、確かに(現在の)ムンダスが創られる前から存在していた君主であり、その性質からして、何らかの形でムンダスの創世に手を出さずにいられなかったことは想像に難くない。とはいえ、ごまかしをその本質としていたロルカーンを "騙す" ことができただろうか? 検討してみよう。黒檀はそれを手に入れ使用した定命の者を誘惑し、通常の限界を超えた偉業を行わせる物質である。ロルカーンはこれを "意図" していたのではないか? 悲しいかな、この考察は自己言及的であり、故に無意味なものである」



参考文献:
FURTHER READING:


『ヴィベクとメファーラ』

アルムシヴィとは何者か?

モロウウィンドは聖なる国で、神々は血肉を備えている。これらの神々は総じて、トリビュナル、三位一体のアルムシヴィ、ダンマーの徳を体現する三大神と呼ばれている。アルマレクシアは慈悲を、ヴィベクは統制を、ソーサ・シルは神秘を体現する。彼らのうちでヴィベクが最も人気を得やすい。ヴィベクはまた、最も大衆的である。というのも彼は愛された戦士、真なる民の詩人で、美しさと残忍さという相反する性質を備えていたからだ。ヴィベクは風雅な暴力である。ヴィベクはモロウウィンドの聖なる王の1人として、聖堂の文学や典礼に描かれている。彼はヴァーデンフェルという聖ヴェロシの亜大陸を守護し、レッドマウンテンを見張っている。彼は聖トリビュナルの1人で、新聖堂の神、そして神聖にして高潔なアルムシヴィの姿である。

守護神王かつ戦士詩人ヴィベクについてのこの明確な説明は、西の者にとってはもっともよく目にする上になじみのあるものだ。しかしヴィベクがダンマーにとっては、彼の守護者である黒き手のメファーラ、すなわち最初期のチャイマーを作ったデイドラの進化した姿であったことを覚えておくことは重要である。このヴィベクの闇の側面は、人気のある文学や典礼には出ていないが、ダンマーにはヴィベクの神聖な側面に不可欠な部分として無意識に理解され、受け入れられている。ヴィベクの複雑な性質をさらに完全に理解するには、ヴィベクの守護者メファーラの性質と、このデイドラの主の流儀と動機によって表される闇の主題についての理解が必要である。

メファーラとは何者か?

トリビュナルの三大神にはそれぞれ、チャイマー文化の黎明期にその守護者となる存在が描かれている。この守護者は、西では邪悪なデイドラの主アズラ、ボエシア、メファーラとして知られている。聖堂の神学では、アズラはアルムシヴィの魔術王ソーサ・シルの守護者である。ボエシアはアルムシヴィの母にして淑女たるアルマレクシアの守護者だ。メファーラはヴィベクの守護者である。伝説によれば、この3人のデイドラの主の導きにより、現状に不満を抱くアルトマーの群衆が自らを新たな人類に変え、新たな地を創り上げた。策略のデイドラの主として知られるボエシアがこの変化を引き起こすのに必要な革命的な方法を授けたが、メファーラはそれらの方法の陰の開発者であった。

西で知られているように、メファーラは殺人と性と秘密の悪魔である。これらの主題にはどれも、微細な側面と激しい側面が含まれる(暗殺と虐殺、求愛と乱交、配慮と詩的な真実)。メファーラはこれらの相反する主題を逆説的に含み、統合すると考えられている。これらの微細な暗示と矛盾はどれもみな、聖堂の教義では明示も説明もされていないにもかかわらず、ダンマーの持つヴィベクの概念の中には存在するのである。

ダンマーはヴィベク卿を殺人と性と秘密の怪物として思い描くことはない。むしろ彼らはヴィベク卿を善の王、守護戦士、詩人で芸術家として思い浮かべる。だが同時に、無意識にではあるが、彼らはヴィベクの善なる側面の下にほの暗く隠された底流があるという概念を受け入れている。

たとえば、ヴィベクにまつわる長く伝えられる神話の中で最も目を引くものの一つに、彼が支配者の仲間であるアルマレクシアとソーサ・シルと共謀して、ダンマー最高の英雄にして将軍のネレヴァル卿の殺害を企てた物語がある。この物語はアッシュランダーの口承に由来するが、聖堂のどの伝承とも全面的に矛盾している。それにもかかわらず、この話はダンマーの想像力の中に確固たる地位を築いている。それはあたかもこう言っているかのようだ。「もちろん、ヴィベクがネレヴァル卿を殺そうと共謀したはずはないが、とても昔に起きたことだ…誰が真実を知り得るだろうか?」

ヴィベクの表向きの顔は温和で繊細、思いやりがあって下の者を守るというものだ。同時に、ヴィベクの隠された側面、すなわち守護者の持つ、もっと原始的で無慈悲な衝動に関連した、暴力や性欲や陰謀の混じった闇の側面に、ダンマーは見境のない満足を覚えているように思われる。



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Elder Scrolls Online公式サイトにて掲載されたLoremaster’s Archiveの記事を日本語訳したものです。検索の利便性のため、過去作に登場している固有名詞などは可能な限り公式訳を採用しています。ESOゲーム内書籍として実装されていない本は英語の題名と著者名を併記してあります。ゲーム内書籍として実装されている本の訳はESO日本語版同書籍のものです。

原文:Loremaster’s Archive: Inexplicable Patron - The Elder Scrolls Online(https://www.elderscrollsonline.com/en-us/news/post/1027

2021年5月 訳

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