2024年4月21日日曜日

ロアマスターズ・アーカイブ:リーチの民の本性

LOREMASTER’S ARCHIVE: ON THE NATURE OF REACHMEN

02/27/2015


リーチの民の本性とその習慣について、かつて自らが奴隷として捕らえられた経験をもつ、アーセナイス・ベロックが語ります。

過酷な経験をしてきたアーセナイスに、忘れようとしている恐ろしい記憶を呼び起こさせることを心苦しく思いつつも、我々は謎めいたリーチの民について、彼女への質問を増やさずにはいられませんでした。結果として、彼女は私たちにこの新しい本を提供してくれました。お楽しみいただければ幸いです!

次回のアーカイブでは、発明家のテレンジャーがスロードについて記された新たな伝承の本と共に再登場します!



『リーチの民の本性』

アーセナイス・ベロック著

ON THE NATURE OF REACHMEN
By Arthenice Belloq


クロウワイフ(Crow-Wives)の手によって奴隷にされた、私自身の体験談である『野蛮人と獣の生活』を書いたとき、誰かが読んだり気にかけたりするとは思っていなかった。だから、学者や歴史家、魔術師など、その手の人たちからの手紙──さらには訪問──を受け取るようになったことは、私を驚かせた。ウェイレスト魔術師ギルドの上級遺物師(※Master of Incunabula、ヴァラステの役職)に預けたその書物には需要があるようで、複本が何冊も作られたらしい。

どうやら、リーチの民とその習慣についての情報は不足しているようだ。想像できるとは思うが、奴らが奴隷にしている人々の多くが、私のように困難な状況で行動できる(もしくはただ幸運に恵まれる)わけではないし、クランの者たちは、よそ者とお茶を飲みながら奴らの邪悪な魔術やデイドラ崇拝について楽しくお喋りすることに乗り気とは言えない。知識やその他諸々の保存に貢献できることは嬉しく思いつつも、道行く先々で質問されることに関して、私が少し辟易してきていることは認めなくてはならない。そこで、最近耳にした数々の馬鹿げた憶測(私の最初の本が不明瞭だったために招いたもの)について、正す機会をいただきたいと思う。

まず、リーチの民について知りたければ、奴らの多くが世間に誤解されているとか、実は高貴な人々である、などとは思わないことだ。奴らはそっとしておいて欲しいなどとさえ思っていない──奴らが望むのは、ひたすら襲い、奴隷にし、征服することだけだ。ダーコラクがハイロックを切り裂き、望むままに殺戮と汚辱を繰り広げたあの虐殺を、人々はもう忘れてしまったのだろうか? 歴史書は時として嘘をつかないものだ。そして私はリーチの民の残虐性について、誇張されているところなど一つもないと保証することができる。

話をした魔術師の多くは、リーチの民の魔法について質問してきた。私はこの分野について詳しいとは言えない。だが自信を持って言えるのは、あれが一部の人々が指摘したような「ほとんど無害な自然魔術の一形態」などではないということだ。私は部族の呪術師を可能な限り避けるようにしていた。彼らは常に蜘蛛やその他の汚らわしい生き物にまみれ、悪臭のする錬金術の液体に向かってブツブツ呟いていたからだ。そもそも、墓の歌い手(the gravesingers)が死霊術師なのは火を見るより明らかだ!

クロウワイフが、リーチの民のクランの中でどれくらい典型的な集団だったのかはわからない。ただ、奴らが最も邪悪な種類のデイドラ崇拝に深く関わっていたということだけは言える。生きながらの火炙りから文字通りの血の風呂、騒々しい解体ショーまで、あの悲惨ないつもにじみ出る祭壇(Ever-Oozing Altar)の前で、私は恐ろしい儀式を目撃することを余儀なくされた。部族がナミラに呼びかける時、儀式小屋の床を分厚い絨毯のように這い回り、ひしめいていたムカデ、ゴキブリ、うごめく恐怖の群れを、私は決して忘れることができないだろう。儀式の最中、クランの者たちはそれを生きたまま地面からつまみ上げて、口に入れていた。

クロウワイフたちは邪悪な魔術と冒涜的なデイドラの儀式以外に、ごくありふれた残虐行為の数々も行っていた。あるハグレイヴンのクロアブドラ(Kloavdra)は、いたずら(特に最後には誰かが怪我をする類いのもの)を愉快だと思っていたようで、あらゆる種類の意地の悪い行為を奨励していた。彼女はずる賢くて残忍な者に褒美を与え、やわな者には罰を与えた。弱すぎると見なされた子らは、普段の無作為な生贄や、ナミラへの生贄に捧げられた。そしてもちろん、襲撃もあった。相手が他の部族であろうと、小さな村であろうと、奴らの襲撃は常に残忍かつ暴力的なもので、標的を油断させて完全に屈服するための卑劣な攻撃を好んだ。

というわけで、以上が、奴らの恐ろしい習性について私の覚えている限りのことを記した 2 冊目の本となる。これで皆さんが、私が自分の人生を生きることを許して下されば幸いだ。



ARTHENICE BELLOQ ANSWERS YOUR QUESTIONS:
アーセナイス・ベロックがあなたの質問に答えます


「リーチの民は、人間種のなかの独自の種族なのですか?」── CodyWatsonDCI より


アーセナイス・ベロックの回答
「独自の種族ではないにしても、リーチの民は間違いなく独自の血統です。血統的にはブレトンに最も近いが、他の種も混ざっているでしょう。彼らはあらゆる人間の子を誘拐し、交配するので。もしかすると、これは彼らが外部の者を受け入れる唯一の例かもしれません」


「ハグレイヴンはどこから来たのですか? 彼らもまた、アルドマーから奇妙に派生した種族のひとつなのでしょうか?」── p4r4digmより


アーセナイス・ベロックの回答
「ハグレイヴンは忌み子です。奴らの目には光がなく、死んでいる。血を流し支配するためだけに生きているのです。リーチの民は、ハグの夫でさえ、奴らを崇めるどころか、好意的にも見ていません。あれらはどこから来たか? 私たちの最悪の悪夢からです」


「苦難に満ちた経験から勝利の生還をしたあなたに知識を求めてきた、ブレトンの同胞です。あなたの記録や、その他の記述によると、リーチの民はハーシーンやナミラのような狂ったデイドラ君主をみだりに崇拝しているようですね。一方で〈古き神々〉というものについても言及されています。リーチの民が神々を描いたお守りや彫像を保管することがあるという噂も聞いたことがあります。あなたはデイドラや人間の生贄を伴わない信仰を持つリーチの民を見たことがありますか? それとも、リーチの部族に人間性や繊細な違いを見出そうとするのは、私の中の哀れなロマンチストだけなのでしょうか? 神々のご加護がありますよう」── Bardon of Clan Crimthann, hamlet of Stokmarket, Kingdom of Wayrestより


アーセナイス・ベロックの回答
「私を捕らえたクランのクロウワイフは野蛮なナミラ信者たちでした。しかし彼らが時々、他のデイドラ君主の名を掲げて誓いを立てるのを聞いたことがあります。リーチの民のなかで目撃した唯一の積極的な崇拝はデイドラ君主に対してのものだけでしたが、あのクランには他にも、私には判別できない奇妙な偶像や古い呪物がありました。私が聴く限りそれらの名前が出たことは一度もありませんでしたし、私がたずねることもありませんでしたが」


「リーチの民はデイドラ、特にデイドラの君主たちを古き神々と見なし崇める一方で、エイドラについては、彼らの目にはほとんど悪魔のように映り、軽蔑しているようですね。古き神々はまた彼らの混沌とした自然魔法と関連しているようで、私は旅先で彼らを研究する間、いつも興味深く感じていました。彼らは特にモラグ・バル、ナミラ、ハーシーンを崇拝しています。なぜこれらの君主たちがリーチの民の習性と結びついているのでしょうか? また、ペライトや、ノクターナル、ヴァルミーナといった他のものについては、彼らはどう見ているのでしょうか?」── Eis Vuur Warden, Wayward and Contract Scholarより


アーセナイス・ベロックの回答
「私が思うに、リーチの民がそれらの君主たちと結びついているのは、彼らが原始的な集団であり、野蛮な振る舞いしか知らないからでしょう。彼らは文明や文明人を軽蔑しています。だから、サングインやクラヴィカス・ヴァイルのような "洗練された"君主たちには馴染めないのです。繊細さや機微といったものを、彼らは弱者のものだと信じていますから」



――――――――――――


Elder Scrolls Online公式サイトにて掲載されたLoremaster’s Archiveの記事を日本語訳したものです。検索の利便性のため過去作に登場している固有名詞などは可能な限り公式訳を採用しています。ESOゲーム内書籍として実装されていない本は英語の題名と著者名を併記してあります。ゲーム内書籍として実装されている本の訳はESO日本語版同書籍のものです。


原文:Loremaster’s Archive: On the Nature of Reachmen - The Elder Scrolls Online(https://www.elderscrollsonline.com/en-us/news/post/25127

2024年4月 訳



おまけ:関連書籍

『野蛮人と獣の生活』

アーセナイス・ベロック 著


第一章:リーチの民による拉致

私は、エバーモアからビョルサエを北へ行った、マルシエン村で生まれた。母は織工で、父は、川貿易用の小さな漁船やコラクル舟を作る船大工だった。少年時代は、父が働く港で遊んだり、森の近くでイッポンシメジのかさやクルミを隅々まで探したりと、幸せだったことを覚えている。

それはある日、後者の遊びをしていた時だったが、私はいつもより村から少し離れて道に迷い、ブライアの茂みに入り込んでしまった。すると突然、いつの間にか気がつくと、1対の人間の頭蓋骨をじっと見つめていた。自分が見ていたものが、杖に乗った頭蓋骨と、その隣にあった頭蓋骨のような模様を描いた女の顔だということに気がついた時には、打ちのめされて縛られ、女の肩に担がれていた。

家から離れ、北へと連れていかれた先は山の中だった。蹴ったり叫んだりし始めると女は私を投げおろし、さらにきつく縛って、おまけに猿ぐつわをかませた。それから女はまた、辺境へと私を運んでいった。結局私は、極度の疲労で気絶した。

目が覚めると辺りは暗かったが、火明かりのゆらめきのおかげで、ぼんやりと物影を見ることはできた。それは、角や骨、そしてくぎや羽毛を身につけた人影だった。リーチの民だ。私は目を閉じて、目覚めようとしたが、それは悪夢ではなかったのだ。目を開けると、彼らはまだそこにいた。

猿ぐつわは外されていたので、水が欲しいと叫ぶと、頭蓋骨顔の女(後にヴォアンシェという名だと知る)が、コップに入れた水を持ってきてくれた。女は縄を確認したが、私が痛みにたじろいだ部分を、実際に少し緩めてくれたのだ。これに私は驚いた。リーチ族は未開人で、残虐行為にふける意地悪なデイドラ崇拝者であるといつも聞かされていたからだ。もしかすると、私がどれほど苦しんでいたかを知れば、解放され家に帰されていたかもしれない。

だがそれは、空頼みだった。私はそのまま、8年間もクロウワイフ・クランの捕虜にされたのだ。リーチの民は、故郷のブレトンで信じ込まされたよりもはるかに複雑で、理解し難かったが、1つだけ間違っていないことがあった。それは、リーチにおいて野蛮な行為と残酷さは、ごく当たり前の日常だったことだ。ヴォアンシェは馬飼いで、前の奴隷が頭を蹴られて死んで以来、馬の世話をする奴隷が必要だったため、私を拉致したのだった。彼女が私に水を与え、縄を緩めたのは、新しい所有物の状態を心配しただけに過ぎなかった。

ヴォアンシェのクランは、クロアブドラというハグレイヴンが牛耳っていたが、かぎつめのような爪をしたこのしなびた婆は、かなりの権力を持った女呪術師だった。彼女は、デイドラの霊魂ナミラという、クモや虫、ナメクジや大蛇といった不快な害獣を制する古代の闇の淑女に仕える女司祭だった。ナミラは有害な小動物の支配者だったので、リーチの民は彼女を「子供の神」と呼んだ(ユーモアがないわけではなかったが、彼らの冗談はいつでも悪意あるものであった)。双子月の闇の度に、クロアブドラはリーチも奴隷も含む一族の子供を抽選で無作為に選び、闇の女神へのいけにえにした。選ばれた子供は、「いつもにじみ出る祭壇」に連れて行かれ、ナミラへの供物としてその心臓を切り離された。いつも自分が選ばれると思っていたが、羽が引かれると、そこに書かれた名前は、いつでも他の子供の名前だった。

クロアブドラの醜い夫は、コインスサックという無作法で暴力的な男だった。彼は墓の歌い手で、死体を意のままにする呪術師だったが、それを私の国では死霊術師と呼んだ。彼はいつも、焼いた鳥肉を見るかのようにヴォアンシェを横目で見ながら唇をなめていた。彼は一族で権力があったし皆に恐れられていたが、ヴォアンシェは高慢な態度で接したため、それは時にコインスサックを怒らせることとなり、夜にテントへ嘲笑する幽霊を送り込まれたり、馬の肥料にライスワームで呪いをかけられたりした。ヴォアンシェはまったく動じず、彼の醜い妻クロアブドラに苦情を出すぞとコインスサックを脅して、いつでも追い払っていた。

リーチでの生活は大変だった。クロウワイフは狩猟クランだったため、荒野の至る所で群れを追いまわすのが私たちの生活だった。それは厳しく危険な暮らしで、大牡鹿の枝角や、サーベルキャットの牙で一瞬にして生命が奪われてもおかしくないような日々だった。しかし、私が最も恐れていたのは、半年ごとにある、ツンドラの群れの後を追ってカース川を横断することだった。私の仕事は、ヴォアンシェとその役立たずの娘が、氷のように冷たい過流を馬に泳いで渡らせるのを手伝うことだったが、毎回これが最後だと、そう思っていた。カース川に捕らえられる度に、2人の兄弟たちのようにビョルサエで水泳を習っていたらと、どれほど願ったことだろうか。

時折、横断の途中で馬がパニックに陥り私たちの手を離れたが、それは大抵、溺れて死ぬことを意味していた。ヴォアンシェと私は馬の死体が打ち上げられている場所が見つかるまで、はるか下流を捜索した。それは馬の皮をはいで、貴重な脂肪や肉、そして骨を手に入れるために死体を解体するためだった。リーチの民の間で、無駄になるものは何もなかったのだ。

カラス妻の奴隷になって6回目の夏(なんと、大嫌いなカースを11回も渡っていた!)、クロアブドラとコインスサックの無礼な息子、アイオックノールに注目され始め、私は迷惑していた。彼はその注目を、私を泥の水たまりに落としたり、シチューにネズミを入れるという形で表現した。アイオックノールは私よりも1歳年下だったが、彼が私を悪ふざけの対象以上の存在にしたがっていることはすぐにわかった。彼はハグレイヴンの息子として、罰を受けることなくやりたいことは大体何でもできたし、ヴォアンシェはクロアブドラに苦情を言って私を守ることはできなかった。横暴な老女はゲラゲラ笑い、手を振って追い払うだけだった。

だから、毛皮の山で寝ているべきはずの夜、私は槍を作り始めた。

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